『心に残った思い出を描く』
このようなテーマがあった時、みなさんはどうしますか?
描けますか?
思い出を思い出すことができますか?
大人の場合、難しいことがあります。
- 思い出せない、思い出したくない。
- 心の中にふれたくない。
- 絵を描くことが苦手。
- どうやって描いたらいいのか分からない。
- 思い出って何を描くのですか?
みなさん「できない理由」をたくさん発見してくれます(笑)。
なかなかそんな経験もないし、最初の一歩を踏み出すのが難しいのですね。
しかしこどもたちにテーマを与えると
「描く!」「描かない!」とはっきりしています。
「描く!」と決めたこどもたちは、その瞬間、頭の中が思い出でいっぱい。
無限の記憶の海にジャッブーン!
「なにかな?何が心に残ったかな?」と考えます。
自分の心の中を探します。心の中を探検します。
思い出して、感じていきます。
「いっぱいある!」幸せだね。
「迷う!」これも幸せだね。
たくさんの思い出、たくさんの出来事の中で、ひとつ選びます。
描くために、ひとつ選ぶんですね。
これもかなり力がいります。
ひとつのテーマを与えた時に
心の記憶の海に潜り、感情を追体験し、ひとつ見つけてきます。
それはまるで海の中からキラキラ光る宝物を見つけるようなかんじ。
「どれにしようかな?」
たくさんの楽しい記憶がある子どもは
思い出すだけでも嬉しそうです。
迷うのも楽しそうです。
「決めた!」
そこから第2ステップです。
Aちゃん「私は馬!!!」
今年初めてお馬さんに乗りました。
それから夢中でお馬体験。
馬にえさをあげたり、ブラッシングをしたり、お散歩につれていったり。
そして馬にひとりでも乗れるようになったのです!
怖さから、楽しさへ。
そして喜びから、達成へ。
その思いはまだまだ続きます。
森の中をお馬にのっているAちゃんの絵。
お気に入りのお馬さんです。
いきいきとした絵。
しっかりと見ていますね。
私は描いているときの
嬉しそうな表情が印象的でした。
本当に嬉しそう。
そして最後までとても丁寧に、あきらめずに描くことができました。
「好き」がたくさんの力を引き出しました。
Sちゃんは運動会の思い出。
「うーんと何にしようかな? これだと描きにくいし…」
楽しい思い出と、「絵を描く」というゴールがつながりにくそう。
それでも心の中を探して、
ひとつひとつイメージをまとめていきました。
そうして選んだ思い出が「運動会のフラッグ」。
旗を持って、音楽にあわせて、みんなで踊ったそうです。
学校でも、家でも練習して、
みんなで音楽にあわせて、何度も練習したんだ。
決めのポーズが決まると嬉しかった。
みんなでぴしっ!と決めるの。
実演もしてくれました。
「決めポーズしてもらえますか?」
私がポーズをして、それを見ながら描いたり。
頭の中だけで考えるのは難しかったので、
実際に「見て、描く」という方法を見つけたのです。
自分の「できる」方法を見つけて、行動することが素晴らしいです!
小学校最後の運動会。
みんなで協力したフラッグの踊り。
一生の思い出になりました。
背景の楽しそうな色のコンビネーションが素敵。
「楽しい感じをどうやって描こうかな?」
楽しいを、絵にする!?
難易度高い。
どこにも正解はありません。見本もありません。
自分の中にしかない答えを探していきました。
そして、かたちのない「楽しさ」を色で表現することができたのです。
おめでとう!
絵を描く。
それは心を描くこと。
テーマを描く。
それは心の中をもぐり、宝物を見つけて、描くこと。
描くことはたくさんの体験をくれます。
思い出を描くことで追体験することができ、思い出を確かめることができます。
そうして体験で豊かな心が育まれていきます。
たくさん絵を描いてほしい。
「うれしい気持ち」を描いてほしい。
「たのしい気持ち」を描いてほしい。
そしてたくさん、この世界にはうれしさと楽しさがあることを
体験して、感じてほしい。
そんなこどもたちの世界にしたい。
子どもたちの絵はまっすぐで純粋です。
今日もありがとうございます。
みんなまる!